着物

着物基礎知識

一枚の布(反物)を直線的に裁って縫う着物。洋服と異なり、平面で仕立て、立体的に着用していきます。平面を人体に合わせていくための工夫が随所に凝らされています。着物の各部分の名称にあわせて、着用するとき、仕立てるときのポイントをご紹介します。

【着物の部位について】

襟 

着物の襟です。半襟にそって左右対称にあわせます。仕立ては棒襟、バチ襟、広襟があります。通常、広襟に仕立て、着用するときに折ります。襟幅が広いと華やかに見えるので、着物が派手に見えたら細めに、地味に見えてしまうと感じたら広めにしてバランスをとります。
棒襟やばち襟はすでに襟が着用するときの幅に縫われているものです。折らずに着られるメリットがあります。

半襟

襦袢に縫い付けてあります。喉の下のくぼみに左右の襟が交差するときれいですが、TPO、年齢、体形によって合わせ方が変わります。顔周りに近いので顔を明るく見せる要素もあります。白だけでなく、色や柄、刺繡もあります。

おはしょり

着物の身丈は身長とされます。頭部分が余る計算になりますが、これを着丈に合わせてたくし上げてできる帯下の重なり部分です。おはしょりによって、身丈の調整ができ、体形にもよりますが、身長プラスマイナス10㎝は着用可能とされるところです。“着物が代々着用できる”“着物はサイズに関係なく着用できる”というのはこのおはしょりマジックのなせる業です。
ただ、おはしょりがあまり長いと洗練されておらず、短いと着崩れの元にもなります。
やはり、自分サイズが着やすいものです。
なお、男性の着物にはおはしょりはありません。

袖 

左右の腕を通す部分です。
腕を体側から45度に上げ、くるぶしが隠れるくらいが一般的です。後ろの背縫いから袖口まで(肩幅+袖幅)を裄といいますが、単純にこの長さだけでは決められません。いかり肩かなで肩か、ほっそり体形かがっしり体形かでかなり違います。ちなみに、体重の増加によって裄も変わります。これは腕が長くなったのではなく、肩や腕まわりに肉がついたことによるものです。ご注意を!
袖丈は1尺3寸(49・2㎝)が一般的です。身長によってバランスのよい長さを決め、すべての着物を同じ袖丈にすると長襦袢の流用ができ便利です。
袷の着物では袖口に八掛(裾回し)と同じ布で袖口布をつけます。袖口からちらりと見えるこの布の配色はセンスの見せ所です。
昔の着物は日常着であったため、袖丈は短めでしたが、現在はおしゃれ着として着るので、長めになっています。
振袖の場合、大振袖・中振袖・小振袖と違いがあり、袖丈が変わります。大振袖は104〜120cmほど、中振袖は100cmほど、小振袖(二尺袖)は60cm〜85cmほどです。

袖の裾部分の袋になったところ。ほこりがたまりやすいので、お手入れ時に確認を。

袖付け 振り

女性の着物の袖と身頃は縫い留められていません。脇も縫い留めていません。身頃側の空いたところが身八ツ口。袖と身頃を縫い合わせた部分を袖付けといいます。また、袖の開いた部分が振りです。
振りからは着物の袖にぴったりと重なった長襦袢が見えることになります。振りから見える長襦袢は自分が思うよりも目立つものです。着物の格にあった長襦袢を着用するのはもちろんですが、色柄にも凝ると楽しいものです。

着物の前身頃につながっている部分。この衽と前幅、後ろ幅を合わせたものが身幅となります。あまり大きいと着用時に身体に巻き込む部分が多くなり、着にくいのですが、身幅が狭いと窮屈でやはり着にくいものになってしまいます。とくにお茶などで座る、立つ、にじり寄るなどの動作をする場合は広めにしておくと着崩れしにくいものです。
衽と前身頃の縫い目、つまり衽線が右足の足袋の縫い目に合わせられると着姿が美しいとされます。

褄先

衽の先端、裾のことです。着用時には下前の褄先を床面から上げます。こうすることで歩きやすく、また、着物が草履にすれて汚れてしまうことを防ぎます。上前も少し上げて着用します。

胴部に巻くものです。着物と同じくコーディネートの主役となる重要な部分です。

帯締

お太鼓結びで帯の形を整え、まとめる小物。紐のようなものです。帯の中心にまっすぐに結びます。

帯揚

帯枕にかぶせて、帯枕が見えるのをカバーし、前で結びます。

八掛

袷の着物に使われる裾の裏地のことです。訪問着や色無地などは同じテイストの共八掛がついています。
自分で選択するときは着物に使われた色のなかからや同色系を選ぶのが一般的です。基調となった色にするのか、アクセントの色にするのかで着物の雰囲気は全く違うものになります。単色だけでなく、柄ものもあります。地味な紬にハッとするようなあでやかな八掛も楽しいものです。この場合、小物や帯の色合いも考えます。
着物を誂えるときは八掛の見本帳で着物地と合わせながら選びます。
なお、胴部分は白い羽二重などが用いられ、胴裏といわれます。

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【帯の部位について】

背縫

後ろ中心の縫い目。上半身と下半身で一直線になるのが理想とされています。

帯 お太鼓

帯結びは色々ありますが、代表的なものがお太鼓です。体形や年齢、TPOで高さや大きさが変わります。

たれ

帯結びでお太鼓の下に出る部分です。

【羽織の部位について】

もともと男性のものとされた羽織は明治期に解禁され、女性も着用するようになりました。その後、大正期に大流行。現代でも訪問先でも脱がない、帯を見せられるとして防寒用だけでなく、おしゃれ用としても着用されています。
羽織も着物と似たつくりで、柄も小紋柄や紬、華やかな絵羽など様々です。基本は“羽織る”ものなので、前は重なりません。その前がはだけないように結ぶのが羽織紐。組み物からビーズ、真珠、石使いなどいろいろな種類があります。
羽織紐をつける場所は乳です。羽織紐が帯にかかるくらいがきれいなので、身長と通常のの帯位置から乳の位置を決めます。
羽織の長さは流行によって様々です。ひざ丈より短いと活動的に見えます。折り返しを長くとっておくと仕立て直しができます。
羽織の裏地は文字通り、羽裏です。羽裏も小紋柄や華やかな絵柄が描かれたものなど、色々あります。男性の場合、表地は個性を出しにくいので、羽裏に凝るともいわれています。
人目につかないだけに趣味性の高い羽裏は密かな楽しみでもあります。
なお、着物と羽織を同じ生地で仕立てたものをアンサンブルといいます。男物によくありますが、女性の紬などでもあります。

【コートの部位について】

着物を着る機会が増えると雨のときの雨コート、防寒のコートが必要です。基本的にコートは訪問先では脱ぐもの。ホテルなどではクロークに預けます。
雨コートは防水、撥水加工がしてあるので、中の着物が雨に濡れるのを防ぎます。基本的にフルレングス。手軽に着られ、身丈の調節ができる二部式か道中着タイプとなります。
防寒用コートは道中着か道行コートでしょう。道中着は着物襟となっているので、着物の襟元は見えません。
一方、道行は襟の形が四角く切られており、着物の襟元が見えます。着物の襟元が見えるタイプにはこのほかに千代田襟や被布襟などもあり、フォーマルな感じになります。訪問着や留袖に合わせとぴったりです。
いずれも襟元が寒いのでショールが活躍します。長さはお好み次第。防寒の観点からはフルレングスですが、動きやすさでは膝丈でしょうか。
このほか、防寒用にはマントやなどもあり、正絹だけでなく、ビロード、ウールや毛皮と素材も色柄も様々です。

20.07.01
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