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着物のTPOについて【セミフォーマル、カジュアル着物版】

着物と一口にいっても、着るシーン、着ていく場所、目的、一緒にいる人との関係などによって着る種類が変わります。これが大まかな着物のルールになります。「(ルールがあるから)着物は大変、難しい、よくわからない」とおっしゃる方も多いようです。でも、ちょっと待ってください。「平服でどうぞ」といわれても結婚披露パーティにジーンズで出席する人はいないはずです。着物も同様です。ただ、日常的に着用しないため、こうしたルールがわかりにくくなっているだけ。基本を押さえれば着物の種類とTPOは実にシンプルで分かりやすいものになっています。では、さっそく着物の種類と着用シーンを紹介します。

今回は、セミフォーマル、カジュアル着物編です。

帯と小物で変幻自在! セミフォーマルからおでかけまで

色無地

帯次第で披露宴からお茶席、おでかけ着、少し改まった席、おでかけまで、幅広くカバーできるのが色無地です。帯子供の入学式や七五三、成人式など、自分が主役ではないですが、付き添いとして控えめに慶びを表し、品格あるように装いたいときに重宝する着物です。また、色と地紋を選べば、通夜や3回忌などの不祝儀にも対応できます。
色無地の格は紋の数で格が変わります。3つ紋では(ところによっては1つ紋でも)無紋の訪問着より上とみなされますが、こうなるとお出かけ着にはなりません。そのため、一つ紋か無紋にして帯で調整するのがおすすめです。

江戸小紋

武士の裃に使われた柄がルーツの江戸小紋。幕府が派手な模様付けを禁止したため、柄が小さくなっていったという経緯があります。当時は紀州徳川家の鮫小紋、徳川家の松葉や万筋、薩摩藩島津家の大小あられ、加賀藩前田家の菊菱など、各家の柄があり、他家が勝手にその柄を使用することはできない、いわゆる留め柄といわれました。なかでも鮫、行儀、格通しの3つは三役といわれ、フォーマルシーンにふさわしいものです。このときは袋帯を選びます。
一方、江戸の庶民の間でもこの小紋が人気となり、野菜や玩具、動物など、身近なものを細かく染めたものが流行りました。これらが「いわれ小紋」です。遠目に無地に見える江戸小紋は粋な雰囲気が魅力であり、帯合わせで幅広いシーンに対応できます。

カジュアル着物

小紋

柄や色が様々な小紋。染めだけでなく、刺繡や絞りなど、いろいろな技法が使われています。フォーマル着物と違い、自分のために装うので、好きな色、柄を選んでみたいものです。着用シーンも幅広く、観劇やコンサートやショッピング、お稽古、女子会、同窓会、ランチ、旅行など、あらゆる場面で活用できます。
帯は名古屋帯か洒落袋。また、半幅帯をおしゃれに結ぶのもありです。

全国各地に産地がある紬。もともとは出荷できない繭でつくる庶民の日常着でしたが、現在はおしゃれ着物、趣味の着物として人気を博しています。代表的なものは大島紬、結城紬など。膨大な時間をかけて織られた紬は作り手のぬくもりが感じられ、着物ファンを魅了しています。伝統工芸品に指定されているものも多くあります。
紬は基本的には先染めの糸を機で織るものですが、紬の白生地に染めや刺繡を施したものもあります。訪問着仕立てのものもあり、着用範囲は広がっていますが、フォーマルではないので、気軽なパーティやカジュアルなレストランウエディングなどまででしょう。

木綿

着心地のよさと扱いやすさを両立している木綿の着物。お手入れしやすい単衣仕立てでも通年着られます。気軽に着られる街着として、買い物や旅行、映画鑑賞などにいいでしょう。行く場所や目的によって、名古屋帯や半幅帯を結びます。カジュアルにするのであれば、下駄や柄足袋を合わせるのもかわいらしいものです。

21.06.17
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