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#03 七五三 着物の選び方

【特集:七五三】#03

子どもが7歳、5歳、3歳にまで、無事に成長したことを祝い、感謝する儀式が「七五三」。男児は3歳と5歳、もしくは5歳のみ、女児は3歳と5歳に行われるのが一般的です。その際、それぞれどんな服を着るといいのか、東京・東日本橋にある創業66年の特撰呉服卸「丸中」の中野早人さんにうかがいました。

女児は「お宮参り」の際に仕立てた祝着を仕立て直す?

女の子が3歳になった時にお参りするのが、最初の七五三の儀式。もし「お宮参り」の際に仕立てた祝着があれば、それを仕立て直して使うといいのだとか。

「例えば、祝着として仕立てた着物に、“肩上げ”や“腰上げ”といったサイズ変更を施せば、七五三の晴れ着としても使えます。肩上げは裄丈、腰上げは身丈を変えるのですが、そうした仕立て直しは呉服店で気軽に受けつけてくれますよ」(中野さん)

一般的に、祝着は“一ツ身”といわれるサイズで仕立てられます。これを仕立て直すことで、4歳くらいまで着られるのだといいます。

「3歳の時の特徴は、帯を締めないこと。また、袖なし襟付きの被布(被布コート)を羽織ることが多いですね。硬い帯を締めるは、3歳児には負担が大きいためです。その代わりに、付け紐や伊達締めで着物を締めます。

また、きものの下には、肌着や長襦袢を着ます。そのほか主に、足袋、草履、巾着、髪飾りなどが必要になります」(中野さん)

7歳の女の子は初めて帯を着用する

女の子が7歳になった時に行う儀式は、本来「帯解き」と呼ばれていました。初めて大人と同じ幅広の帯を結び始める儀式です。

「体に合わせて肩上げや腰上げ、“おはしょり”をした振り袖を着ます。おはしょりとは、着丈に合わせて余った部分を腰の上で折り、腰紐で結んで留めることです。また、帯を締めるというのが大きな違いですね。着付けの仕方が大人と同じになるわけです」(中野さん)

きものの下には、肌着や長襦袢を着ます。そのほか、着物を何枚か重ね着しているように見せるため、“重ね衿”を使い、格式を上げます。また、帯の上には、帯締めを締めます。

「ほかに、箱迫(はこせこ)や扇子、びらかんざしや髪飾り、足袋と草履を用意してあげましょう。これらは、呉服店などでセットで用意されていることが多いですね」(中野さん)

きものの絵柄にはどんな意味がある?

3歳、7歳用の別なく、着物には、さまざまな文様や柄がデザインされていますが、「何月生まれ、もしくは何年生まれだからこの柄を」といった決まりはありません。ただし、一つ一つの柄や文様には、それぞれ意味があります。そうした柄や文様に込められた願いを知った上で選ぶと、きもの選びがより楽しくなります。

「例えば、七色の配色は、昔から魔除けや厄除けになるといわれています。また、帯や帯締めといった“長いもの”が描かれているのは、昔から長いものには悪いものが近づかない、といわれているため。細かい柄については、昔から受け継がれてきた古典柄が多いですね」(中野さん)

代表的な文様として、“束ね熨斗(たばねのし)”が挙げられます。ご祝儀の進物や引き出物に添えたのが始まりとされる“熨斗(のし)”を、数本束ねたもので、男女問わず使われますが、女の子の着物の場合には、きらびやかな配色が施されています。

「“宝尽くし”と呼ばれる吉祥文様も、晴れ着にはよく使われます。中でも、打ち出の小槌や宝珠(ほうじゅ)、隠れ笠、宝鑰(ほうやく)、金嚢(きんのう)、七宝といった多彩な文様と組み合わせて使われるのは、“宝尽くし”といいます」(中野さん)

そのほか、女の子の着物には、蝶や鈴などの模様も多くあしらわれています。

「形を変えながら美しく成長し、ふわふわと舞い上がる蝶や、魔除けになると同時に、味方や神様を呼び寄せる鈴なども人気の柄です。また、桜や松竹梅など草花模様がデザインされたものもありますね。桜は日本の国花ですし、松竹梅と同様、縁起の良い花。ですから四季を通じてお使いいただけます」(中野さん)

5歳の男の子には、羽織に家紋を入れる

5歳の男の子の七五三は、本来、「袴着の儀」と呼ばれていました。大人と同じく、江戸時代の正装となる羽織袴を着ます。

「男の子の羽織の柄は、鷹や兜がメインで描かれることが多いですね。それらを中心に、馬や宝船、弓矢、それに鎧の柄が描かれています。いずれも、勇ましく元気な子どもに育って欲しいという意味が込められているのです」(中野さん)

着物の下には、肌着や長襦袢を着ます。また、帯や懐剣、草履などを用意すると良いでしょう。これらも呉服店で、セット販売されていることが多いようです。

また、男の子の場合に大事なのが、羽織に家紋を入れること。基本は、父系の家紋を、背中と両胸、そして両袖の外側に一つずつ入れます。これを“五つ紋”と呼ぶこともあります。

きもの選びも含めて良い思い出に

3歳の場合、きもの選びはママやパパ、おじいちゃん、おばあちゃんの意見が反映されることが多いかもしれません。でも、4〜5歳頃になると、お子さん自身の好みもはっきりとしてきます。

「着物を選ぶ際には、これがいいあれがいいいった具合に、何枚も羽織ってみて選んでいくといいでしょう。うした行為自体が、お子さんにとっても親御さんにとっても、一生の思い出になると思いますよ」(中野さん)

写真:千總(http://www.chiso.co.jp/)/PIXTA

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19.06.28
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