浴衣が万緑に映える!夏の京都で“涼”を感じる名所5選
夏の京都といえば祇園祭。そんなイメージを持っている人も多いのでは?
厳かでありながらも子供から大人まで楽しめる、さすが日本三大祭のひとつです。ただ、実際に宵山や山鉾巡行に出かけたことがある人は、盆地特有のうだるような暑さを経験したことでしょう。
「浴衣で京都を歩くなんて、もうまっぴら!」と思った人もいるかも。そう、夏の京都は本当に暑いんです。
でも、そんな夏にこそ、涼を求めて訪れたい場所があります。
1.詩仙堂:目と耳から涼しくなる
春のさつきと秋の紅葉が美しいことで特に知られる詩仙堂の日本庭園では、初夏の新緑、そして夏本番の木々の濃い緑も楽しめます。特に真夏は参拝客が少なくなるのでおすすめ。
街なかの喧騒から離れ、竹が日差しを遮ってくれる参道を抜けて境内へ。“詩仙堂”の名前の由来となった中国・漢晋唐宋の詩家36人の肖像が並ぶ『詩仙の間』、そして日本庭園をパノラマで楽しめる『書院』に腰を下ろせば、汗が少しずつ引いて行くのが感じられるでしょう。
白砂と翠緑のコントラストが美しく、それを見つめている目元から涼しくなっていくよう。
それでもまだ暑い人は、耳から涼を感じてみてはいかがでしょう。僧都(そうず、ししおどしのこと)という装置から時折響き渡る音が、庭園の静けさを一層引き立てます。
夕方にはヒグラシの鳴き声も心地よいですよ。浴衣で来てよかったと、きっと思うはず。
★詩仙堂丈山寺★
場所:京都市左京区一乗寺門口町27番地
アクセス:京都市営バス「一乗寺下り松町」下車8分、叡山電鉄「一乗寺駅」下車12分
開門時間 : 午前9時~午後5時 (受付終了午後4時45分)
拝観料:大人500円、高校生400円、小中学生200円
公式サイト:http://www.kyoto-shisendo.com/
2.無鄰菴:小川の流れでリフレッシュ
文化施設の集まる岡崎公園にほど近い無鄰菴。日本史の教科書でこの名前を聞いたことがあるかもしれませんね。
明治・大正の政治家山縣有朋の建てた別荘で、母屋となりの洋館が日露開戦前の外交方針を決める『無鄰菴会議』の会場となりました。
無鄰菴を夏におすすめしたい理由は、琵琶湖疏水から水を引いた小川が敷地内を流れ、芝生を使った開放的な庭と一体になって心地よい空間が演出されているから。
木陰と小川とくれば、涼しくないわけがありません。水のせせらぎのおかげで、目を閉じていても心身のリフレッシュになり、ついつい長居をしてしまいます。
★無鄰菴★
場所:京都市左京区南禅寺草川町31番地
アクセス:京都市営バス京都岡崎ループ「南禅寺・疏水記念館・動物園東門前」下車徒歩4分、京都市営バス「神宮道」または「岡崎公園・美術館・平安神宮前」下車徒歩10分、京都市営地下鉄東西線「蹴上駅」下車徒歩7分
開場時間 : 夏季 午前9時~午後6時 (最終入場午後5時30分)
入場料:410円(小学生未満無料)
公式サイト:https://murin-an.jp/
3.龍安寺:石庭見学の前後に森林浴
龍安寺は、狭い空間に白砂を敷き、15個の石を配した枯山水の庭で有名です。世界遺産の『古都京都の文化財』を構成する寺でもあるため、この庭を眺められる方丈には世界中から観光客が集まってきます。
実は多くの人が石庭までの道を急ぎ、見学したら回れ右をしています。でも、それはもったいない。
夏の龍安寺では、青もみじが張り出す参道や鏡容池の周囲、境内の西にある桜苑も美しく、ゆったりと森林浴を楽しむことができるのです。
枝打ちに特徴のある北山台杉の間を縫うように、散策道も整備されていますよ。
★大雲山龍安寺★
場所:京都市右京区龍安寺御陵下町13
アクセス:京都市営バス「立命館大学前」下車徒歩7分、「龍安寺前」下車すぐ
開門時間 :夏季 午前8時~午後5時
拝観料:大人・高校生500円、小中学生300円
公式サイト:http://www.ryoanji.jp/smph/
4.建仁寺:祇園で静寂に包まれる
観光客で賑わう祇園で、四条通から花見小路通を南へ進むと建仁寺の門に突き当たります。京都最古の禅寺です。
方丈から見えるのは、広々とした枯山水の庭『大雄苑(だいおうえん)』です。夏のギラギラした太陽の光が反射して、白砂が光り輝いています。暑そうだって?いえいえ、方丈と本坊は渡り廊下でつながっているため風通しがよく、快適なんですよ。
本坊中庭にあたる『潮音庭(ちょうおんてい)』は深緑の楓に囲まれ、苔と、中央に配された石がなんとも涼しげ。四方から見ることを想定してデザインされているため、あちらからもこちらからも愛でることができます。
広い境内には寺周辺の人混みとは対照的な静寂が広がり、心がゆったりと落ち着きます。
★建仁寺★
場所:京都市東山区大和大路通四条下る小松町
アクセス:京都市営バス「東山安井」下車徒歩5分、「南座前」下車徒歩7分、「祇園」下車徒歩10分、「清水道」下車徒歩10分、京阪電車「祇園四条駅」下車徒歩7分、阪急電車「河原町駅」下車徒歩10分
拝観時間 :夏季 午前10時~午後4時30分(午後5時閉門)
拝観料:一般 500円、中高生 300円、小学生 200円
公式サイト:https://www.kenninji.jp/
5.三条大橋:鴨川で夕涼み
かつての東海道と中山道の発着点であり、鴨川にかかる橋の中でも特に目立つ存在の三条大橋。
木製の欄干が今も残り、この橋を渡ると京都の風情が感じられます。そのうえ鴨川の豊かな水の流れには、暑さを忘れさせてくれる優雅さと清々しさがあります。上流には山並みが望め、南を向けばとうとうと流れが続きます。一本南の四条大橋ほど人通りが多くないことも、爽快感のポイントかもしれません。
夏には橋の西側に立ち並ぶ飲食店が、みそそぎ川(鴨川と並行する人工の水路)にせり出して『床(ゆか)』を設置します。午後6時頃になると床で食事やお酒を楽しむ人々や川岸で夕涼みする人が増え、京都の暑い夜はこうして更けていきます。
★三条大橋★
場所:三条大橋東詰
アクセス:京阪電鉄「三条駅」下車すぐ、京都市営地下鉄「三条京阪駅」下車徒歩2分
どんなに「暑い」と嘆いても気温や湿度は下がってくれません。でも、五感をフルに使って涼を呼び込むことで、浴衣を着ていても涼しい顔で街歩きが楽しめるはず。この夏は京都で納涼してみませんか。
参考文献
烏賀陽百合『一度は行ってみたい 京都「絶景庭園」』光文社知恵の森文庫 2015年