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きもので行きたい美術館〈2026年 新春・東京周辺〉

きものを着るのがより楽しくなる、きもので行くとより楽しめる。きもの好きにオススメな、新春の東京で始まる展覧会をピックアップしてご紹介します。
※ご紹介は展覧会の開催期間順です。

弥生美術館・竹久夢二美術館

弥生美術館:はいからモダン袴スタイル ―「女袴」の近現代―

今では卒業式のスタイルとして定着している女性の袴姿。明治・大正の女学生の通学服として時代を象徴する装いですが、当初は男装的な姿が非難を浴びて着用が禁止され、襠(まち)の無いスカート状の「女袴」が考案されたことで広まっていった、という紆余曲折がありました。

袴は女学生だけでなく「働く女性」の装いでもあり、ジェンダーレスで活動的な衣服としての側面もうかがえます。和装から洋装へ移り行くはざまの短い期間に花開いた袴姿。明治から現代までの絵、写真や袴実物等の資料を展示し、その魅力や意義を紐解きます。

大正末~昭和初期頃の女学生の装い
袴、着物、小物等:古田和豊氏蔵 靴(左):大塚製靴蔵 撮影:大橋愛

竹久夢二美術館:大正ロマンの小さな美 絵封筒の世界展  ―夢二・かいちを中心に、名もなき図案家まで―

絵封筒(えぶうとう)とは、和紙に木版色刷りによって草花や風景、また様々な図案があしらわれた封筒で、大正から昭和初期にかけて流行しました。「夢二式美人画」で知られる竹久夢二(1884-1934)はこの分野でも才能を発揮し、絵封筒を情趣豊かに彩りました。また京都で活躍した図案家・小林かいち(1896-1968)による色鮮やかでモダンな絵封筒は女学生の人気を集め、近年再び注目されています。

本展では夢二・かいちを中心に、日本画家から名もなき図案家による絵封筒を展観します。俳画を思わせる洗練された意匠から乙女趣味のモダンなデザインまで、時代の流行を投影しながら手紙に華を添えた絵封筒の魅力に迫ります。

会期:
2026年1月3日(土)~3月29日(日)
開館時間:
10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:
月曜日 ※ただし1月12日、2月23日(月・祝)開館、翌火曜日休館
入場料:
一般1,200円 ほか
※弥生美術館・竹久夢二美術館の2館を併せた料金となります。
※お支払いは現金のみですので、ご注意ください。
会場:
弥生美術館 〒113-0032 東京都文京区弥生2-4-3
竹久夢二美術館 〒113-0032 東京都文京区弥生2-4-2
公式サイト:
https://www.yayoi-yumeji-museum.jp

太田記念美術館:浮世絵おじさんフェスティバル

浮世絵の風景画などの片隅には、しばしば味わい深い人物― “おじさん” たちが描かれています。楽しそうに旅をしたり、仕事に励んだり、グルメに舌鼓を打ったり。彼らは決して絵の脇役にとどまらず、見れば見るほど個性豊かで、愛嬌にあふれています。おじさんを通して浮世絵の細部を見つめ直すことで、作品の新たな魅力や絵師たちの意外な個性を再発見していただけることでしょう。

本展では、前後期あわせて 150 点を超える作品を通して、浮世絵に描かれた多彩なおじさんたちを紹介。歌川広重をはじめとした作風も時代も異なる絵師たちの作品が一堂に会する〈おじさんフェスティバル〉です。あなただけの” 推しおじ “を探して、浮世絵の新たな魅力と奥深さを再発見してみてください。

歌川広重「東海道 丗四 五十三次 二川」【前期展示】
葛飾北斎「諸国瀧廻 東都葵ヶ岡の滝」 【後期展示】


会期:
2026年1月6日(火)~3月1日(日)
 前期:1月6日(火)~2月1日(日)
 後期:2月5日(木)~3月1日(日) ※前後期で全点展示替え
開館時間:
10:30~17:30 (最終入館17:00)
休館日:
月曜日(1/12と2/23は開館、翌火曜休館)、2/3~4(展示替えのため)
入場料:
一般 1,000円
会場:
太田記念美術館 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-10-10
公式サイト:
https://www.ukiyoe-ota-muse.jp

日本民藝館:抽象美と柳宗悦

※ポスター内画像:ブランケット 北アメリカ先住民 ナバホ族 毛、綴織 19世紀後半 日本民藝館蔵

柳宗悦の晩年にあたる1950年代は、国立近代美術館で「抽象と幻想」展が開催されるなど、日本の美術界で抽象美術が大きな注目を集めました。そのような中、柳は雑誌『心』に「抽象美について」(1957年)を寄稿します。「古くして新しい抽象美」について述べたこの一文は、『民藝』第63号での抽象紋特集(1958年3月)に発展し、多くの図版を伴って特集されました。本展では、特集に掲載された「抽象紋」の工芸を軸に構成し、柳が見た「抽象美」とは何かを探ります。

能装束 白地鱗模様摺箔(部分) 江戸時代 18世紀 日本民藝館蔵
御絵図(部分) 琉球王国時代 19世紀 日本民藝館蔵

会期:
2026年1月6日(火)~3月10日(火)
開館時間:
10:00~17:00 (最終入館16:30)
休館日:
月曜日 ※祝日の場合は開館、翌日休館
入場料:
一般 1,500円 ほか
会場:
日本民藝館 〒153-0041 東京都目黒区駒場4-3-33
公式サイト:
https://mingeikan.or.jp

文化学園服飾博物館:タペストリー&カーペット &【同時開催】馬をめぐる布

【タペストリー&カーペット】
私たちのまわりには、服飾以外にも生活の中で使用されるさまざまな染織品があり、それらは実用的なものから装飾的なものまで、暮らしに彩りを与えています。本展では、壁や空間に掛けるタペストリーと、屋内やテントで敷くカーペットに注目し、世界各地の掛布と敷物を紹介します。四角形だからこそ意匠をこらした模様構成や、用途にあわせて工夫された染織技法などに注目します。

壁布(部分)(エカテリーナ2世の宮殿用) フランス 1773年頃

【馬をめぐる布】
2026年の干支にちなみ、馬の模様が描かれた衣服や乗馬服、鞍掛や袋など、馬に関係する染織資料を集めます。

男児の着物 日本 20世紀初め

会期:
2026年1月6日(火)~ 3月3日(火)
開館時間:
月~金 10:00~16:30/土 10:00~15:00
 ※2/6(金)は19:00まで開館、1/17, 2/28(土)は16:30まで開館
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:
日曜、祝日
入場料:
一般1,000円 ほか
会場:
文化学園服飾博物館 〒151-8529 東京都渋谷区代々木3-22-7 新宿文化クイントビル 1階
公式サイト:
https://museum.bunka.ac.jp

半蔵門ミュージアム:富士山 花と雲と湖と

日本を象徴する山、富士山。春夏秋冬、朝昼夕、さまざまな姿を私たちに見せてくれます。本展は、花や雲や湖を合わせて描いた富士山の絵画を展示します。文化勲章受章者である横山大観・田崎廣助・片岡球子、版画家の笹島喜平、日本画家の川﨑春彦・岡信孝・木村圭吾・平松礼二、洋画家の野田好子・櫻井孝美という10名・15作品です。

同じ富士山が主題でも、描く画家により構図や色彩は異なり、それぞれの個性が輝いています。花に囲まれ、雲がたなびき、畔に湖のある、美麗で独創的な富士山の絵画をご堪能ください。

横山大観《霊峰不二》1939年
櫻井孝美《錦秋》1992年

会期:
2026年1月17日(土)〜5月10日(日)
開館時間:
10時~17時30分(入館は17時まで)
休館日:
毎週月曜日・火曜日
入場料:
無料
会場:
半蔵門ミュージアム 〒102-0082 東京都千代田区一番町25
公式サイト:
https://www.hanzomonmuseum.jp

25.12.06
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